Over the Event Horizon

資格・検定試験の記録、趣味、日々の出来事などについて気が向いた時に更新します

資格の勉強

これまで、いろんな資格の勉強をやってみて感じる事は、多くの試験において一般常識で解ける問題が少なからずあることだ。

人によって意見は様々だと思うが、問題はだいたい以下のように分類できるのではないだろうか。

(1)試験分野について何も知らなくても、一般的な常識で解ける問題(常識問題)

(2)知らないと解けないが、知っていれば簡単に解ける問題(単純な知識問題・暗記問題)

(3)知っていて、かつ、他の分野との総合的なつながりや実例(具体例)への適用能力が試される問題(応用的な知識問題)

(4)知っていて、かつ、思考力、計算力等が試される問題(思考問題)

 

仮に試験の合格ラインが6割だとすると、試験毎に大きく異なるとは思うが

なにも勉強をしなくても、(1)の常識問題だけで、だいたい1~2割取れると思う。

そして一通りテキストなどで一般の人が知らない知識を備えた時点で5割~7割くらい。簡単な試験では、これで合格点に届く。

そして、難しい試験では、ここからの上積みが重要で、過去問などで他の分野とのつながりや具体例などを脳内で有機的に結合させて、応用問題に対応できるようにしたり、計算力や思考力を鍛えていくことで(3)(4)の問題にも適応できるようにすると、だいたい7割~9割くらいになる。新規問題やミス等がなければもっと多く得点できることになるが。

そして、この中で一番苦難の道なのが言うまでもなく(3)と(4)だ。勉強した割に得点がなかなか伸びず、費用対効果が非常に悪い部分だ。なかなかボーダーラインに届かなくて悔しい思いをすることになる。正規分布のグラフで言えば、最も人数が多い部分よりも少しだけ上にいる人だ。(試験には全く勉強せずにひやかしやお試しで受けに来る人もいるから、そのぶん平均点は下がり、正規分布の最多人数も低得点側にズレるから。)

いちばん調子よく勉強できるのは、学習に比例して得点も順調に伸びる(と思われる)(2)だろう。

以上は、あくまで私の個人的なイメージなですよ。

 

ところで、(1)の一般常識問題だが、常識と言うのは人によって違う。自分が常識だと思っていても、人にとっては非常識だということもありうる。

自分の常識は世間の非常識かもしれないと常に思っておくことは大事だ。

それを踏まえて、世間一般で常識と思われること(例えば、借りた金は返さなければならないみたいな)に照らし合わせて、全く勉強をしていない時点で問題を見てみると、これは当たり前のことだよね!とか、明らかに間違ってるよね!という問題が結構あるのだが、これが少し勉強をやることによって、変わってきてしまうことがある。

 

例えば、今日やった司法書士試験の過去問(平成4年第31問ア)は

「所有権移転の原因を「売買」とする農地法所定の許可を証する情報を提供して、「贈与」を原因とする所有権移転の登記の申請をすることができる。」→誤り

 

この問題、所有権移転原因とか農地法の許可とか登記申請について多少は知らないと、何を言っているのかよくわからないかもしれないが、少しわかっている段階で、常識的に考えると、売買として許可を貰っているのに贈与で登記することなんで普通できないだろう!!と、いう結論になると思う。誤りなのは当たり前だ。

しかし、もう少し勉強を進めると、こんな判例を目にする事になる。

「売買を登記原因として所有権移転登記がなされていたが、実態は譲渡だった場合でも、その所有権移転登記は有効であり、第三者に対抗できる。」

そして、この判例を知ってしまったがために、上記問題で、原因が売買と贈与で異なっていても大丈夫だったんだっけ?と、考えこんでしまうことになる。出題者は、この判例を基に知識が確実でない受験生を惑わせにかかっている訳だ。

そうして、ほとんど勉強していなかったならば、容易に正解を導き出せた問題が、少し勉強をしてしまうことによって、簡単には正解を導き出せない問題に変わってしまう。

法律系の学習においては、確実な知識が重要だとよく言われるが、上記のような問題では、確実な知識というのがどこまでなのか、そこから類推して答えが導き出せるものなのか、なかなか難しいものがある。基本原則である木の幹をしっかり定着させた上で、枝葉の知識を伸ばしていかなくてはならないというのは重要だとは思うのだが・・・。