Over the Event Horizon

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比例計算が面倒なので考えた事(気象予報士試験実技)

気象予報士試験の実技問題では、時々、予想天気図から低気圧の移動距離を読み取る問題が出る。

 

例えば・・・

 

過去問から最適な問題がすぐに見つけられなかったので、直近の第48回(平成29年度第1回)実技1の図1(初期時刻の実況天気図)と図2(12時間後の予想天気図)から、低気圧の移動距離を求めてみる事にしよう。

 

図1と図2がこちら

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問題としては

「図2は地上気圧・降水量・風の12時間予想図である。東海道沖にある低気圧の初期時刻から12時間後までの移動距離(km)を図1も用いて10km刻みで答えよ。」

といったところだろうか?

 

この場合の解き方としては以下のような正攻法の解き方があると思う

 

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【正攻法の解き方】

①図2に初期時刻の低気圧(九州南岸にある)の位置を×印でマーク(赤い×点)

②×印と東海道沖の低気圧の長さを定規またはディバイダを使って読み取る(赤い線:私のパソコンでは長さ26.0mmでした)

③距離を求めたい部分の横(上の図では北緯130°~140°)の緯度10°分の長さを定規またはディバイダを使って読み取る(緑色の線:私のパソコンでは長さ33.5mmでした)

④距離を(km)で求めるので、緯度10°の紙面上の長さに対する低気圧の移動距離の紙面上の測定値の比率(26.0/33.5)に緯度10°分の本当の距離(1110km)を掛けて移動距離を手計算する

移動距離=26.0/33.5×1110=861.5km

10km刻みなので1の位を四捨五入して答えは、860km

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といった感じで解答する人が多いんじゃないだろうか?

しかし、いつも思う事だが、手計算は本当に面倒くさい。こんなの電卓で計算させればいいんじゃないの?と思っているのは私だけではないはず。

しかもディバイダを使った場合に、測る度に定規で長さを読み取るのも読み取りミスしそうだし、手間がかかる。

なんとかもっと簡単に求める方法はないものか??

と考えていたらこんな求め方はどうかと思った。

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【比例計算をしない求め方】

下図のような三角形を余白に書きます 

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①黒い線を引く

→問題では、移動距離を(km)で求めるので、その指標となる緯度10°の実際の地球上での距離600海里、1110kmのうち、1110kmを選び、実際の距離換算が楽なように11.1cmの横線を引く。

 ※こうすれば1cmなら100km、3.8cmなら380kmに相当するので簡単)

ちなみに、問題が「何海里か?」なら600海里を選び、6.0cmの線を引けばよい。

②緑色の線を引く

→次に、今引いた横線(1110km)に対応する緯度10°の図2紙面上の長さ(33.5mm)の線(緑色の線)をだいたい直角に引く。

 ※図2からディバイダで測った距離をそのままプロットすればいいので、定規にあてて数値を読み取る必要はない。

 ※また、描いた三角形から比例を利用して最終的に数値を求めるだけなので、三角形が直角三角形になっている必要もない。

③オレンジ色の線を引く

→ただ頂点を結ぶだけ

④赤い線、または×点を書き、そこから答えを求める

→図2から、ディバイダで低気圧の移動距離を測り、そのまま上の図の緑線上にプロット(赤い×印)する。

→次に、×印から、黒い横線に平行に線を引いて、三角形の斜辺と交わったところから、黒い横線上に線を引く。

→黒い線との交点の値をで読み取る(定規は0をちゃんと合わせる)。

読取値が8.6cm(86mm)になるので、860kmが答え

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距離以外にも、例えば移動速度が何ノットかを求めるならば、

緯度10°分が600海里で、600海里を12時間で移動する(すなわち600/12=50ノット)のを基準と考えて

50ノット→5.0cmを上記黒い線の長さとして最初に引けばいいだけだ。

この場合、最終読み取り値が例えば3.7cmならばそのまま37ノットが答えとなる。

 

他にも、距離だけでなく比例を使って図から長さを測って求めるような問題。

例えば、エマグラムでSSI(ショワルター安定指数)を求める場合の、空気塊を湿潤断熱線に沿って500hPaまで持ち上げた時の左右の湿潤断熱線との位置などにも使えるかもしれない。

 

以上、図から定規やディバイダを使って数値を求める時に、計算を少なくする方法を書いてみたのだが、これにはメリットもデメリットもある。

[メリット]

・比例計算を含む計算をしなくて済む

・ディバイダを定規にあてて数値を読み取る必要がない

[デメリット]

・作図に時間が必要なので、慣れないとかえって時間がかかる可能性がある。

・手計算が簡単だった場合や、目測で正確な距離がわかってしまう場合(ディバイダで測った距離が緯度10°線の丁度半分だった場合など)は余計に時間がかかってしまう。

・ちょっと思いつかないのだが、このやり方だと最終的答えをダイレクトに読み取るだけなので、もしも途中の数値を必要とする問題が次に控えていたりした場合、二度手間になる可能性がある。

 

といったところだろうか。

現時点で、どちらが有効かわからないところだが、この方法をグレードアップしてもっと簡単にサラッと答えを導き出す方法はないものだろうか?

 

・・・・・・ないか!(^_^;)